アイスバスまたは、寒冷療法の生理学的作用

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どうも、おは、こんばん、ニチワ。本日は、前回に引き続き、「寒冷療法」についてです。

タイトルにもありますが、生理学的作用について、述べていきたいと思います。

生理学的作用

寒冷療法による生理学的作用は、冷却部位の温度変化による反応として生じるため、使用する冷却媒体と温度、冷却する部位と範囲、冷却時間と頻度、皮膚温、室温や季節などの影響を受ける。また、熱伝導率や熱吸収率は、皮膚・皮下脂肪の厚さや血行状態により異なるため、冷却による生理学的変化には、個人差がある。一般的に寒冷療法は、次にょうな生理学的作用を目的として用いられる。

  1. 一次的血管収縮と二次的血管拡張
  2. 新陳代謝の低下
  3. 毛細血管透過性の低下
  4. 痛覚受容器の閾値上昇
  5. 筋紡錘活動の低下



組織温度

寒冷療法の適応により、冷却部位の皮膚表面温度は、急激に低下する。次いで、熱伝導により皮下組織、深部組織の温度低下が生じる。ただし、コールドスプレーでは、深部組織の温度低下は、ほとんど認められない。皮下組織の反応は、温度変化の程度が小さいことを除き、皮膚表面の反応と同様である。深部組織の温度低下は、皮膚および皮下組織温の変化より遅く、冷却適応後数分間はほぼ一定である。冷却終了直後からは、皮膚温および皮下組織の温度は、上昇するが、深部組織の温度はしばらく低下し続けその後徐々に上昇する。しかし、冷却終了後の組織温度の上昇は、冷却による温度低下よりもはるかに緩慢で、数十分から数時間は回復しない。

皮膚温は、-0.5℃まで低下すると凍結し、細胞は、破壊されとされている。しかし、前腕の皮膚温を-2.2℃まで冷却しても、皮膚は、凍結しなかったとの報告もある。凍傷の発生は、冷却部位の組織温だけでなく、冷却の適応時間、冷却部位、冷却方法、外圧、血液循環などの要素が関連している。

循環系

体表面の局所的な冷却により、冷却部位では、浅在血管の部分的な収縮がおこる。20℃以下の冷却では、ゆっくりとした全体的な血管収縮がおこる。冷却部位の組織温度が10℃以下になると、反射作用により急速で全体的な血管収縮(一次的血管収縮)をきたす。さらに、酸素ヘモグロビンの解離もほとんどおこらなくなり、組織での酸化活動は抑制される。

また、寒冷による血管収縮によって、リンパ液の生成減少、浮腫の形成が抑制される。この生理的作用は、外傷後の応急処置として重要な浮腫抑制に対して応用される。

氷水に手指を浸すような急激な冷却の場合には、急速な血管収縮に続いて血管の拡張(二次的血管拡張)がおこるといわれている。冷却開始後8~16分後に、2~6℃の振幅で不規則な皮膚温返還を示す乱調反応がみられる。

神経・筋

冷却による神経・筋への影響は、受容器や神経線維の閾値上昇、神経伝達速度の低下、神経・筋接合部位での、活動低下などがあげられる。

筋紡錘のインパルス発射頻度は、38~28℃の冷却で直線的に低下し、50~80%減少する。さらに25℃以下では発射は、不規則となり、20℃以下で停止するといわれている。冷却による人の末梢神経伝達速度の低下は、皮膚温低下と、直線的な関係を示し、その割合は、1℃の低下ごとに1.1~2.4m/sec低くなる。

冷却による神経系の活動低下は、触覚・冷覚→筋力→血管収縮→痛みと粗大な圧迫感、の順序でおこる。

神経-筋の興奮伝達に関する実験では、ラットでは15℃の冷却で阻害され、5℃で遮断した。しかし、5℃では神経線維の伝導は、保たれており、微細な神経終板電位は、記録されることができた。神経-筋の伝導が遮断された後も、筋肉は直接刺激で、反応した。これらの結果から、冷却によって、神経-筋の興奮伝導にかかわる化学反応の低下が生じていると考えられる。

以上のような神経・筋の生理学的変化から冷却は筋緊張にも影響を及ぼす。下腿三頭筋に対する20分間のアイスパック、30分間の冷浴によるアキレス腱反射の軽減なども報告されている。冷却によるγ運動神経の抑制と筋紡錘の興奮低下、関節周囲組織の粘性増加によるものと考えられている。

一方で、短時間で急激なアイスマッサージの適用では、皮膚からの求心性刺激を高め、皮膚節と同じ髄節支配の反応を促通すると言われている。

代謝

冷却により代謝は低下し、組織細胞の酸素需要は減少する。冷却による代謝の低下は、温度が10℃低下するごとに半減するとされている。代謝の低下に伴う細胞の酸素需要の低下は、外傷後に発生する浮腫が、損傷組織周囲圧迫することによって生じる正常細胞の二次的破壊を防ぐ。急性外傷に対する寒冷療法の最も重要な効果は、この代謝の抑制にあると言われている。

結合組織及び関節

冷却により組織の粘性は高まり、伸長に対する抵抗は増加する。関節周囲の冷却では、筋、靭帯、関節包の粘性が高まるため、関節の運動抵抗の増加と運動スピードの低下をきたす。また、冷却による関節内の滑液粘性の増加も関節運動の変化に関連している。これからは、神経・筋のところで述べた寒冷によるアキレス腱反射の軽減や筋出力の低下にも関与していると考えられる。

筋力

冷却は筋力や筋持久力にも影響を与える。前腕部を10~15℃の冷水浴で30分間冷却すると、冷却直後の握力は反対側の60~80%に低下する。筋収縮の時給制に関しては、18℃の冷却による筋温25~29℃の条件下において、長時間の収縮維持が可能になる。それより高い温度もしくは、低い温度の冷却では、持久力は低下するとされている。

自覚的感覚

冷水浴やアイスマッサージの適用中に自覚する感覚は、時間経過とともに変化する。冷却適用直後の感覚は、

冷たさ深部痛みかさ→で突かれるような痛み感覚がなくなる

といった経過をたどる。このような感覚変化の順序はほぼ一定であるが、変化が生じるまでの時間は個人差がある。