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重心とサッカー

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Hola、スペインかぶれの、ゴラッソです。今日は、重心のお話です。

重心、重心って言いうけど、実際は、見えないものになります。重心とはどんなものか、サッカーと繋げて考えてみましょう。

重心

The Earthの物体には、地球の中心に向かう万有引力が作用している。重力は、力の方向が平行であるため、その作用点をひとつに合成することができる。その作用点を物体の重心という。重心を通る垂直線を重心線。

人体の重心は3つの要素で規定される。

  1. 身体があらゆる方向に自由に回転しうる点
  2. 身体各部の重量が相互に平衡である点
  3. 身体を横から見た面(矢状面)、前から見た面(前額面)、真上から面(水平面)の3つの面が交差する点

人体の重心は骨盤内で仙骨(尾てい骨の上の三角形の骨)のやや前方に位置している。重心の位置を足底から計測すると、成人男性では、身長の約56%、女性では55%の位置にある。重心の位置は、体型による個人差もある。小児では、重心が成人よりも相対的に頭部に近く、立位姿勢のバランス保持は不安定になる。

安定性

安定性(stability)とは、「平衡状態からの変位に対する物体の抵抗」。方向が正反対の2つの等しい力が物体に同時に作用していると、力の釣り合いがとれて、物体の位置の変化や運動は起こらない。平衡状態を維持しようとする性質が安定性である。

重力の影響下で人間が姿勢を保持するとき、複数の要因が安定性に影響している。

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重心の高さ

重心の位置が低いほど安定性はよい。立位よりも座位のほうが重心の位置が低いため、安定性はよくなる。立位でも腕を挙げると、重心の位置が高くなるため、安定性は低下する。

支持基底面の広さ

支持基底とは、両足で立位を保持しているときには、両足底面およびその間の部分を合計した面積。支持基底面が広いほど、安定性はよい。両足を密着させた立位よりも、両足を話した立位のほうが安定性はよい。

支持基底面と重心線との関係

支持基底内の重心線の位置が支持基底の中心に近いほど安定性はよい。重心線の位置が辺縁に近くなると、わずかな力によって重心線が支持基底面から、出てしまい。バランスが崩れてしまう。両足から片足になると、支持基底面の減少と同時に重心線の位置が相対的に辺縁に偏るため、不安定な状態になる。

質量

質量が多き程、安定性はよい。ただし、体重あるいは、質量が安定性に影響するのは、運動時と重力以外の力が作用しているときだけである。

摩擦

接地面との摩擦抵抗が大きいほど、安定性はよい。安定性に影響するのは、運動時および、外力が作用しているとき。

分節的構造物

分節的構造物よりも単一構造物のほうが安定性がよい。だるま落としのだるまよりも、台座にのっただるまのほうが、安定性はよいということ。分節的構造物が平衡を保つためには、

上位分節の重心線が下位分節の支持基底面内にあること

全体の重心線が最下位分節の支持基底面内にあることが必要

各分節の重心線が一致していると、全体の安定性はよくなる。人の体は、頭、体幹、四肢で構成される複雑な構造であり、各体節の重心線も一致してないため、運動時に安定性は低下する。

これらおおまかな、6項目が重心の安定性を大きく関わっている。

サッカーでは

「重心を低く安定させろ!」

などと、指導者がよく言われてますが、果たしてそれが確かなのだろうか?

安定すると言うことは、動きがそこに落ち着くということ、活発な動きを生み出すには、「不安定」にならなければなりません。

重心の高さのみにピックアップして考えてみると、低いと安定するが、素早く動くには、向いていません。低い状態から動き出すことは、高い出力が必要になってきます。ここでは、筋力が必要です。ボディコンタクトが必要になってくる局面では、安定させないといけないので、低い位置が必要になってきますが、低いと視野が狭くなってしまいます。視野が狭いと効果的なプレーが難しくなりますよね。なので、コンタクトが発生するプレーになりそうだと、予測されるときには、特にその前に周りを確認する作業を行わなくてはなりませんので、状況判断をするために、顔を上げなければなりません。

話はそれましたが、重心を高くすること、低くすることは、それぞれメリットとデメリットが存在することを頭に入れたうえで、指導する必要があるのです。ただ、やみくもに、何でもかんでも、重心を低くすることは、サッカーには向いていないということを頭にいれておきましょう。

また分節構造物から考えてみても、単一構造物のほうが安定するので、ガチガチに体幹を鍛え固めると安定してしまいますので、急に素早く動いたりする行動ができなくなる。むしろグニャグニャにしてるほうが、不安定なので、重心の安定性という観点から考えると、素早く動くことができるのです。ブラジルのレジェンド「ロナウジーニョ」はいつも、なんだか、グニャグニャ、タコのように動いてますよね。なので、体幹をバキバキに鍛え上げることが悪いわけではありませんが、体幹もしっかり鍛えたら、グニャグニャに動く、バラエティのある動きのトレーニングも素早く動くためには、しなければならない。

ロナウジーニョを観ていると、サンバを踊ったりするのが良いトレーニングでは、ないだろうかと思います。実際の実験で、サッカーをしたことのない人にコーンドリブルのタイムを測定し、サンバのみを1ヶ月間練習した後、コーンドリブルを再度計測したら、タイムが向上していたという結果も報告されてます。

分節的に考えてみても重心は、安定させないほう動きがスムーズになるので、これらの運動学の基礎を浸透させて、指導し、選手に理解させ、状況に応じて選択させることが、大切である。特に、勤勉な日本人には、有利である。試合中でも、このような知識が少しでも頭の片隅にでもあると。やたら、重心を低くしたりしなくなり、体力の温存にもつながってくる。低い重心だと前述で言ったように筋力が必要になってくるからである。

昔からの定説を疑問に思いながら、指導していくことが指導者にとっても、サッカー小僧の保護者も考えていかなければ、ならない。